老後の庭じまい、どこから始める?
年を重ねてからの「庭の手入れが大変」「維持費がかかる」という悩み。
そんなときの選択肢が「庭じまい」。老後の暮らしを安心にするためのステップを湘南移住で実践している私が解説します。
1.庭が「負担」に変わる瞬間
若いころは「花を育てるのが楽しみ」だった庭も、年齢を重ねると、
「草取りがつらい」「剪定中に転びそうになる」「蚊に刺されて夏は外に出たくない」──
そんな“負担”に変わっていく方が増えています。
特に湘南など温暖な地域では、雑草や樹木の成長が早く、放っておくと隣家や道路にはみ出してトラブルになることも。
その結果、「老後の暮らしを安心にするための“庭じまい”」という考え方が注目され始めています。
私は湘南に移住して25年が経過しました。湘南ゴールドをはじめ、多くの果樹を育ています。
果物数は約20種類(湘南ゴールド、ぶどう、レモン、ゆず、すだち、さくらんぼ、くこ、フェイジョア、栗、もも、山椒、イチジク、オリーブ、いちご、などなど)、鉢数で言うと、100鉢を超えています。
2.「庭じまい」とは?単なる撤去ではない“暮らしの整理”
「庭じまい」という言葉を聞くと、「木を切って砂利を敷く」だけのように思うかもしれません。
しかし実際には、老後の生活を見据えた家まわりの整備計画なのです。
- 今後もこの家に住み続けるのか?
- 管理できる範囲に縮小するか?
- 将来的に売却・相続を見据えるか?
これらを考慮しながら、庭の一部を駐車場やウッドデッキに変えたり、防草シートを敷いて維持をラクにするなど、
「自分らしく暮らすための再設計」が庭じまいの本質です。
なお、大事に育てた地植えの植木を伐採することはとても大きな心の痛みがありました。
小さい、若い植木は種類により鉢に移植することも可能かもしれません。
ですが古く、大きくなった場合、鉢に植え替えすることは難しいです。
私が実践した方法は、取り木、挿し木、接ぎ木、という3つの方法です。
この方法で同じ遺伝子を持つ樹木を別の方法で再生する方法で命のリレーをしました。
3.庭じまいを考えるきっかけになる“3つのサイン”
1.体力的に手入れが難しくなってきた
草むしりや剪定で腰や膝が痛むようになった。
なるべく除草剤など、薬品を使わなければ、雑草は驚異的に増殖をします。
毎年の夏は恐怖を感じていた毎日でした。
2.維持費が想像以上にかかる
植木の伐採、害虫駆除、外構修繕などで年間数万円単位の出費がある。
私の庭では、過去に2回もスズメバチの巣を作られたことがありました。
その都度、藤沢市に連絡をして無料で撤去をして頂きましたが、今年の議会で来年2026年から有料になるというニュースがありました。
3.家族に迷惑をかけたくない
遠方の子どもに「庭の管理をお願いするのは気が引ける」と感じ始めた。
家族だけでなく、ご近所さんの敷地に越境するようなことがあれば迷惑になります。
この3つのサインがそろったら、“庭じまいの始めどき”です。
4.後悔しないための「庭じまい」5つのステップ
STEP1:今の庭の「資産価値」を知る
大切なのは、“今の庭の状態”を客観的に把握すること。
放置している木があるなら、根の張り具合や構造物への影響も確認します。
造園業者や不動産会社に「庭診断」を依頼すれば、必要な費用感や将来リスクを可視化できます。
STEP2:思い出と一緒に「残す部分」「じまう部分」を決める
「孫が遊んだ砂場」「記念に植えた桜」など、庭には思い出が詰まっています。
すべてを撤去するのではなく、象徴的な一本を残す“記憶の庭”にすることで、心の整理にもなります。
STEP3:老後の生活動線を考えた“再設計”
草を取るスペースをなくし、駐車場や小さなテラスに変えることで、
転倒リスクを減らし、生活がラクになります。
最近は、人工芝や防草砂利を使った「メンテナンスフリーの庭」も人気です。
メンテナンスフリーが老後の庭づくりのテーマで、庭じまいの基本になります。
STEP4:見積もりは“3社以上”比較
庭じまいの費用は、広さ・樹木の本数・重機使用の有無で大きく変わります。
一社に任せるのではなく、複数業者に見積もりを取り、内訳を比較するのが鉄則。
「伐採・処分・整地」などの項目ごとに明細を出してもらいましょう。
STEP5:将来の「家の使い方」と連動させる
庭じまいをすることで、家の価値が上がるケースもあります。
たとえば「駐車場が増えて売却しやすくなる」「見た目が明るくなって印象アップ」など。
“今後10年の暮らし方”を見据えた判断が、最も後悔しない選択につながります。
5.庭じまいを「終活」の一部として考える
最近では、「墓じまい」「実家じまい」と同じように、“庭じまい”も終活の一環として考える人が増えています。
理由はシンプル。
「元気なうちに、家のことを自分の手で整えておきたい」という想いからです。
庭は“その人の生き方”が最も表れる場所。
その手入れを手放すことは、決して寂しいことではなく、次の人生を軽やかに迎える準備です。
6.専門サービスを活用するという選択
最近は、庭じまいを専門に扱うサービスも登場しています。
これらの業者は、単なる伐採だけでなく、
- 思い出の木の記念植え替え
- 取り木、挿し木、接ぎ木で残す方法も
- 余ったスペースの再利用提案
- 相続・売却時の庭整理プラン
- などを一括でサポートしてくれます。
湘南のように庭付き戸建てが多い地域では、地域密着の造園・外構業者とのネットワークがある専門コンシェルジュ型サービスを選ぶと安心です。
7.まとめ:「庭を手放す」ことは、“自由を取り戻す”こと
庭じまいとは、決して「終わり」ではありません。
むしろ、これからの自分らしい暮らし方を取り戻す第一歩です。
体力的な不安、維持費の負担、家族への気遣い──
そのすべてを軽くするための前向きな選択が「庭じまい」なのです。
